秋庭邸
- 建築地
- 沖縄県読谷村座喜味
- 建物用途
- 一戸建て住宅
- 建築概要
- 一階床面積67.05㎡、二階床面積29.11㎡
- 述べ面積
- 96.16㎡
- 構造
- 鉄骨造
- 階数
- 2階建て
- 施工
- 2013年9月~2014年1月
開放的に自然とともに暮らす
設計コンセプト
施主は周辺の豊かな自然環境を愉しむことができるように、鉄骨とガラスの箱のような家を提案していました。建築家&デザイナー、チャールズ イームズの自邸(イームズ邸)に自分たちのライフスタイルを重ねて、工業用建材を多く使った鉄骨がむき出しの住宅らしからぬ
広々とした空間のイメージです。
イームズ邸が建てられた時代、ミッドセンチュリーと呼ばれるアメリカンスタイルを沖縄の生活空間にどう反映させるか。
沖縄の戦後の建築風景を連想してみると、1950年~60年代の米軍基地の中の近代建築や外人住宅、
さらにガラス張りの教会堂などを思い浮かべた。コンクリートとガラスは近代化の流れをそのまま現在に引き継いでシンプルモダンの建築にも
反映している。しかし、バウハウスの建築空間から引き継がれたスチールとガラスの組み合わせは影を潜めている。
沖縄の気候を考えると、鉄骨は塩害に弱く、面の大きいガラスは台風に弱いためその対策を考えると敬遠されがちです。それに挑むには
自然に寄り添う独自のライフスタイルを築く必要があります。自然とどう付き合うかを建築的に解決する知恵も必要です。エネルギー効率を一番に考える傾向のシンプルモダンではなく、暮らしの知恵が環境を制御する方向があるように思う。知恵が及ばない技術に頼るのは
心もとないものです。
家の中を自然の風が巡り、陽が巡る。太陽の光と夜の月の輝き、星の煌きを日常生活の断片に感じることが、いかに暮らしを愉しくするか。
施主のアメリカでの生活をヒントに考え出された新しいライフスタイルを近代化の歴史の流れの中に写し取り、今の時代に呼び込んで
自然とどう向き合っていくか。
仕切りを取り払ったオープンなスペースは新しい住まい方を未来につないでいくのかもしれません。
計画では、東北方向にガラス面を向けて、日の出のやさしい日差しをガラス面で受けるようにした。
西側は緑の土手があって、木が茂っていて直射熱を遮っている。その面は断熱材を挟んだ壁にして風抜きと必要な明かりのためのの小さな窓にする。さらに、東北の庭先にパーゴラの庇を伸ばし、二階のテラスの屋根につなげて、パッションフルーツを這わせる。テラスが緑に覆われて夏の強い日差しを避けることができて、台風対策にもなる。周辺に福木の木を植えて屋敷囲いにすれば、次第に森の中のガラスの家に近づいていくという構想です。